やってはいけない 歯科治療 第10弾
銀歯のトラブルの元凶ここにあり
歯科技工士残酷物語
第8弾でジャーナリストの岩澤倫彦氏から私は取材を受けましたがそのシリーズの第10弾は「歯科技工士問題」です。
歯科の技工物、クラウンやインレー(詰め物)は歯科医師が作るのではなく歯科技工士という国家資格を持った専門職の方が製作します。
記事の内容はこの技工士がまともな報酬を得られずに困窮しているという内容です。
以下、岩澤倫彦氏のFaceBookページからのコピーです。
歯科治療には欠かせない、クラウン(被せもの)や入れ歯などを製作するのが「歯科技工士」だ。重要な役割を担っているにもかかわらず、低収入、長時間労働を強いられ、その結果、銀歯の精度が低下して虫歯の温床となる等、患者にも多大な影響が及んでいる。
今回、全国の歯科技工士を取材すると、ダンピングの強要など歯科業界のモラルなき実態が判明した。
「僕ね、昨夜は2時間しか寝ていないんですわ。今週は月曜2時間、火曜、水曜は3時間。今夜はたぶん徹夜。ほんまに限界です」
兵庫県神戸市で歯科技工所を個人で経営する57歳の男性は、自嘲気味にこう話した。顔色は青白く、丸い背中に疲労感が漂う。40年ローンで購入した自宅1階の8畳分が作業場。2階と3階に妻と4人の子供が暮らすが、顔を見ない日が多い。仮眠は作業机で突っ伏して仮眠をとる。
「気がついたら寝とるという感じやね。大量に仕事があるから、気持ちに余裕がないんですわ。気がついたら死んどるかもしれん(笑)」
作業机の上には、患者の歯形模型が並んでいた。1日に製作する銀歯は30~40個で、受注から納期まで2日間しかない。だから、連日20時間働き続けてフル操業となる。
銀歯1個の製作費を聞いてみると──。
「単価ね、恥ずかしいな(笑)。インレーという銀歯の詰めもので400円。だから、とにかく数をこなさなければ食べていけないですよ。1か月の売り上げは40万円ほどですけど、銀歯作りは電気代がもの凄くかかるので、6割は経費です」
歯科技工士の待遇改善を求めて活動する雨松真希人さん(34)に、銀歯の製造工程を見せてもらった。
歯科医院では患者の歯型を取り、そこに石膏を流し込んだ模型を作成する。歯型模型を受け取った歯科技工士は、銀歯を被せる歯の模型を削って整え、溶かしたワックス(ろう)を盛りつける。
それを鋳型材で固めて電気炉で焼くと、ワックス部分が燃えて空洞になる。そこに金銀パラジウム合金を流し込むと、銀歯の原型ができる。洗浄と研磨をして、銀歯が完成する。全てが手作業で行なわれ、熟練した技術と経験が必要な匠の世界だ。
しかし、これだけ丁寧に作っても1個400円にしかならない。大量に製作しなければ生活は成り立たず、常識を超えた長時間労働が、必然となっていた。
「80人いた技工士専門学校の同級生で、残っているのは1割です。みんな仕事は好きだけど、夜中2時まで働いて技工所に泊まる毎日で、精神も肉体もボロボロになりました。若者が使い捨てにされる状況を放置すれば、日本から歯科技工士がいなくなるかもしれない」(雨松氏)
●文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)と本誌取材班
※週刊ポスト2016年9月30日号
歯科医師のパートナーである歯科技工士の賃金が上がり、歯科医師と対等な立場であるということが最低限必要です。
歯科技工という仕事は歯科の仕事の中で最も難しいものだと私は思います。
私は技工士さんが行う仕事に対して心から尊敬しています。
保険の銀歯はこのように技工士さんの犠牲のもとで製作されていることをご理解くださるようにお願い致します。
勿論、保険医の犠牲のもとにも成り立っています。
吉川英樹 拝