テレビを見ていてバーミキュラという鍋を知りました。
ルクルーゼは形と色がお洒落な鍋で一般的に知れ渡っていると思います。
このパーミュキュラというMade in Japanの鍋は私が行っている歯科治療に似ているので素晴らしいと思いました。
この手の鍋は鋳物で作られています。 鋳物とは型に金属を流し込んで金属を形作る技術であり歯科のクラウン・ブリッジもこの鋳造技術が使われています。
この鍋を作った会社愛知県にある工業企業向けに機械部品などの製造を手がける1936年創業の老舗鋳造メーカー「愛知ドビー」。
まったくの偶然で友人の結婚式で「ル・クルーゼ」を引き出物としてもらった土方専務が、当初「鍋なんて」と思っていたものの、使ってみると料理のおいしさを左右することに気づき、興味を持ったのだという。
愛知ドビーはここ数年の経済不況を受けて、下請け会社としての受注の減少から、自社製品の販売に踏み切ったという。
しかも「ル・クルーゼ」にはない「無水調理」、つまり水を入れなくても調理できる“水いらず”という機能性まで加える。土方専務が掲げたこのビジョンにしたがって、3年前に開発が始まったそうだ。 このパーミュキュラは今では10カ月待ちという売れ行きでなかなか手に入らないということだ。
この鍋の最大の特徴は、蓋と鍋本体の隙間を1000分の1mmという徹底した精度で仕上げ機密性を実現したことだ。
「高度な無水調理をしようとすればするほど、密封性は高めなければならず、そのためには蓋の重量のバランスが重要になる。ステンレス製の鍋では蓋が軽すぎる」(土方専務)。とはいえ、鋳物特性の重みだけで密封性を高めることはできない。「密封性を高めるために、一つひとつ、鍋の縁を削って磨く。それは職人が一つひとつ、手仕事で行う。全工程の中でも最も技術のいる作業。ていねいに仕上げるからこそ密封性が高まり、風合いも出る」(土方専務)。ここでもPDCの繰り返しだった。結果として、今や1000分の1mmという徹底した気密性が実現したわけだ。 PDCとは(P=計画、D=実行、C=検討、A=改善)日経トレンディーネットより
鍋の蓋と本体の接合部分が1000分の1ということは私達が行うクラウンブリッジワークそのものですし誰でもが出来る作業ではなく職人技ということに共通点があります。
大企業の大量生産の生産ラインでは絶対に不可能であるという事実に感名を受けました。
良く一般的に見かけるクラウンブリッジ歯と被せの隙間が500ミクロン位開いています。
黒い線から線までの長さは1mmです。
下の写真は私が患者さんへいれたクラウンぴったりと適合して誤差は20ミクロン程度。
この技術はどこの歯科医師でも出来るというのではなく、自分の最大限の力を患者さんに施術しようという気持ちがないと出来るものではありません。
私はマイクロスコープを使ってこのような治療を毎日行っていることが自分自身の存在価値であるしこのようなことを実践出来て幸せです。
このバーミュキュラの鍋と同じように小さな組織の職人かたぎの人間でしかこんなことは実現不可能です。
よくこのような意見を聞くことがあります。「小さな診療所より、大病院のほうが医療技術が高いと思っていました」と。確かに設備面では大病院のほうがスケールメリットがあり優位だと思いますが歯科医療に関してはこれは当てはまりません。
私が今まで出会った尊敬できる歯科医師はほとんどの方が小さなクリニックでまじめに診療に取り組んでいる開業医の先生でした。
特に18年前に米国歯科補専門医の藤本 順平 先生にはこのような小さな規模の歯科開業医の世界をご教授戴きまして感謝致します。
18年前に藤本先生の作製されたクラウンを拝見した時の強烈な印象は今も忘れません。
正に神業です。
この記事は過去のエキサイトブログより転写致しました。