予防歯科の研究結果
北欧では予防歯科が定着しています。
スウェーデン、イエテボリ大学予防歯科学教室のアクセルソン先生が30年にわたる予防歯科の研究を発表しました。歯は一生もつものという実感を持ちました。その研究と結果は以下のものです。
The Long-term Effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal desease in adults Results after 30 years of maintenance P.Axelsson,B,Nystrom and J.Lindhe Journal of Clinical Periodontology 2004 から抜粋
この研究のバックグラウンド
歯の表面に形成されるバイオフィルムは虫歯と歯周病の主な原因です。虫歯と歯周病のの予防で必要なことはこの細菌の塊であるプラークを除去することです。
この研究の目的
定期健診でプラークコントロールプログラムを規則正しく受けてお口の中のケアの仕方を教育された患者様の歯は、失わずに、何本くらい残るのか?
そして、何本くらい虫歯になるのか?
そして、歯周病によって、どのくらい歯周組織が失われるのだろうか?
1972年と2002年に 患者さんの口腔の状態が比較されました。
研究のマテリアルと方法
1971年と1972年に550人以上の患者様が集められた。
375人はテストグループ、180人はコントロールグループに分けられた。テストグループは予防をしたグループ、コントロールグループは予防をしないグループに分けられた。
6年後にコントロールグループは倫理的理由で解散した。歯が失われるのを傍観していられないからでしょう。
それぞれの患者さんはご自身の口の中の状態、予防について良く理解した。最初の2年間は2ヶ月に一度、定期健診に来院しました。 3年後から30年後の間は3~12ヶ月に一度、定期健診に来院しました。定期健診では、適切なプラークコントロールプログラムの方法、手段を教えてもらいました。
歯間ブラシ、デンタルフロス、デンタルテープ、トゥースピックの使い方 の口腔清掃のセッシションは、歯科衛生士によって行われセッションでは次のことが行われました。その後
▷プラークの染め出し ▷PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaninng)が行われました。
その結果、30年間の間、ほとんど歯は失われませんでした。年齢によっても差はあっ たが0.4本~1.8本歯は失われました。
ほとんどの歯を失う理由は歯根破折でした。たった21本だけは、虫歯、歯周病で失われました。
新しい虫歯の発生は年齢によっても異なりますが、1.2本、1.7本、2.1本でし た。
虫歯の発生の約80%は、再発性の虫歯、つまり、過去に虫歯になって修復済みのところが、再び虫歯になる2次カリエスというものでした。ほとんどの部位でアタッチメントロス(歯周組織がなくなる)はみられませんでした。
結論として、この研究では、30年間の長期にわたって、患者様は定期的に診療室を訪れ、注意深く予防歯科の処置を受けました。そして、30年間の成果が集積されました。
また、患者様は口腔衛生の高い水準を維持することの利益を認識し、予防歯科のプログラムを楽しみました。
結果は、歯の喪失も、虫歯の発生も、歯周病の進行もほとんどありませんでした。
当医院でもこのように北欧の予防歯科を採用しています。
当医院では1994年から予防中心の歯科医療体制に切り替え、今年で21年経過しました。治療のためではなく、予防のために当医院にお見えになる患者様が増えてきて、結果が出始めてきました。メインテナンスしてくださる患者様は、歯を失いません。とても喜ばしいことだと思います。地域のみなさまの歯を失うことなく、美しく保っていきたいと願っております。
「ご自身の歯・口腔を一生、美しく失うことなく快適に保ってもらう」ことが当院のミッションです。