初診でお見えになるほとんどの患者さんは過去に歯磨き指導をされていません。

保険診療は疾病保険なので当然なのでしょう。予防は健康保険の中にくみこまれていないので。

しかし、歯科医療は予防と治療が渾然一体となって行われないと効果がありません。

 

プラーク=炎症=出血

歯周病予防のための歯磨き指導がされていないと辺縁歯肉に細菌性プラークがたまり歯肉の炎症が起こり出血します。

 

歯肉から出血すると型取りをするシリコンゴムが硬化する前に出血の圧力で歯型の辺縁部・マージン部が流れてしまい型取りが失敗してしまいます。

 

この動画のように辺縁歯肉から出血していると正確な型取りが出来ないのでクラウン辺縁・マージンが合わないものしか出来ません。

 

 

歯磨き指導

 

歯とクラウンの間にギャップがあるクラウンやオーバーハングして庇のように飛び出ているクラウンを日常茶飯事に見ることが出来ますが歯の形成や型取りがまともに出来ていないのが大きな原因です。

 

細菌性プラークを患者さんが毎日除去出来る術を身につけることにより炎症、出血が治り正確な型取りが出来るようになります。

 

そのためには、歯科衛生士による歯磨き指導が必須になります。

 

私は歴代の歯科衛生士に必ず教えることがあります。

それは、「歯と歯周組織の解剖学的構造を患者さんに必ず教えて下さい」と言います。

 

歯と歯の間には歯間鼓形空隙といって3角形の隙間がありこの形態に合わせて歯間ブラシを選択するべきです。

歯周病患者様には歯と歯肉の付着はスキャロップ状という貝殻のような半円形をしているのでそこを重点的に筆のような細いブラシで歯肉溝にブラシが入るようにご指導するべきです。

 

 

そして、最も重要なことは患者さんにご指導したことを患者さんが実践するスキルを持っていることです。

 

そのようになって初めてブラッシング指導が出来たと言えるのでしょう。

それから、重要なことは皆様、歯磨きの時間が余りにも短かすぎます。

こんなに重要な歯磨きなのに3分以内に終える方が殆どでしょう。

10分〜20分位テレビを見ながら、本を読みながら行えば時間的をかけることによりかなりキレイ歯・歯肉になります。

 

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日本歯周病学会歯周病専門医 吉川 英樹 拝