以前に虫歯が大きくなって、そして痛くなり神経を取って治療した歯なのに、腫れて、膿が出たり、歯がグラグラになった経験はありませんか?
もっとひどくなると顔面が著しく腫れて、抜歯になるケースもあります。どうして治療したところが痛んでしまうのでしょうか?
これには理由があります。神経を抜いて薬を詰める治療を根管治療といいます。根管治療は非常に難しい治療で、日本では成功率が3割〜5割と言われています。米国では根管治療専門の歯科医師がいます。治療もマイクロスコープを使い精密で、成功率は9割と言われいます。
それに対して、日本の歯科医師は一人でなんでも治療しなくてはならず大変です。根管治療法も100年前とほとんど変わらない方法で治療しています。この理由は保険診療の根管治療費用が海外と比べ異常に安いことが原因しています。そして日本では健康保険でできることになっていますから痛みがなければすぐに被せてしまいます。保険では安い根管治療に時間をかけるより被せる治療を早くしたほうが多くの点数、料金を受け取れるからです。
いい加減な根管治療が行こなわれた結果数年後に痛くなり、調べてみると膿がたまり、再治療が必要になり、最悪の場合抜歯になるケースも多くあります。
根管治療は(リーマー・ファイル)という、ヤスリの様な器具で感染した所を削り取り、(ガッタパーチャー・ポイント)というゴムで詰めます。日本の歯科医師はヤスリでは完璧に感染源を取り除くことができず、汚れを奥のほうに押し込んでしまいます。場合によっては、敏感な根の先を破壊してしまうこともあります。そして、ゴムを詰める方法も、完璧に充填することができず、必ず死腔(デッドスペース)ができてしまう。そこにタンパク質や血液が入り込み腐敗して行きます。
私はペンシルア大学歯内療法大学院卒、米国歯内療法専門医の石井宏先生から指導を受け日本式の根管治療器具ではなく米国式の器具を使用する様になりました。その器具はチタンで出来ており、湾曲した複雑な根の中を回転しながら器械で汚れを外に掻きだしてくれます(Ni-Tiロータリー器具)。下の写真は私が根管治療のために使用しているニッケルチタン製回転器具です。
そして、完璧に汚れを取り除いたところに熱で暖めた流動性のある樹脂を一定の圧力を加えながら充填(Continious Wave Technique)していきます。完璧に充填された根管にはデットスペースは存在しません。 経年変化もありませんから、再治療の必要性はほとんどありません。
現在この方法はアメリカの歯内療法専門医ではスタンダードな治療方法です。しかし日本ではほとんどの歯科医はこの方法を行っていません。保険診療では高価なので赤字になるからです。
今までの根管治療は目に見えないところの汚れを術者の経験と感を頼りに取り除いていましたが、マイクロスコープの発展に伴い(マイクロエンドドンティクス)、目に見える明視下で治療を行うことが出来るようになりました。
どこの国でも根管治療費用は数万円以上かかるものなのに日本では一万円以下に抑えられています。(保険診療の影響)
日本ではマイクロスコープやニッケルチタンロータリー器具、Continious Wave Techniqueなどを駆使した高品質、高精度な根管治療を自費診療で行える歯科医院はほとんどありません。
このような理由で多くの歯は根管治療がいい加減なため、抜歯されることになります。
米国では、私が指導を受けた先生も含め根管治療専門の歯科医院が開業しています。
精度の高い、マイクロスコープを使用したコンセプトを守った根管治療をすれば9割ほど、ご自身の歯を守り残すことができて何もインプラント治療する必要もなく経済的にも得なはずです。
吉川歯科医院では日々研鑽し米国の専門医と同じような根の治療を行い、みなさまの歯を守ります。
日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹執筆
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