虫歯が深くなって歯髄(神経・血管)に達した場合、歯髄炎を起こしそのままでは済まないので歯髄を除去する場合がありますが、これを抜髄と呼びます。

この時に重要なことがあります。

 

「誰が初めに歯髄(神経・血管)を触ったか」

以前にも書きましたが唾液が歯の中に侵入すると感染を起こし、そこに入り込んだ細菌をやっつけることはとても難しくなります。

 

そこで、歯の中に唾液が入らないようにラバーダムを必ずすることが必要ですが、日本では5%の歯科医師しかこれを行っていないという事実があります。(写真はラバーダムです)

 

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日本ではほとんどラバーダムが使われていないので歯の中に細菌が侵入して、数年後に歯の根の先に膿が溜まってしまい、慢性的な腫れが生じます。

 

また、神経を除去した歯は土台を入れて被せなくてはならないことが多く、この土台を入れる時、従来はメタルコアという歯科技工士が作ったものを患者さんの歯にセメントで装着していましたが、型取りからメタルコアの装着までの間に歯の中に感染を起こしていました。仮の封鎖がうまくできないためです。

 

そして、もっと厄介なことがあります。メタルの土台を入れた後の根の先に膿が溜まるともう一度、根管治療・根の治療を行わなければなりません。しかし、このメタルの土台を外すのには危険が伴います。へたにやると歯に穴を開けてしまいます。歯が割れる場合があります。新築の家を建てるよりもリフォームのほうが困難です。うまくやらないと家が傾きます。

 

このように最初に歯の中の歯髄を触る歯科医師の責任は重大です。

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝