私たちの医院には沢山の歯周病をお持ちの方が多く来院されます。

その中で歯磨き指導・口腔衛生指導を受けたことのない方がほとんどです。

 

これでは歯周病は治りません。

 

なぜ治らないのか?ここに興味深い研究があります。

 

歯周病治療時にAとBのグループに分けました。

Aグループ 1回の歯磨き指導だけ→歯周病治療(歯垢・歯石除去)

Bグループ 8回の歯磨き指導→歯周病治療(歯垢・歯石除去)

 

結果

Aグループ 歯周病はなおらず歯の周りにも歯垢がべったりつき、歯周病の指標である出血も治まらずポケット内にみられる細菌のうち、スピロヘータと運動性桿菌が2ヶ月以内で最初と同じレベルまで戻ってしまいました。

Bグループ 8回歯磨き指導をしたのですが、患者さんが2・3回目で歯磨きをマスターして、出血も治まり歯周病菌数も減少したまま低いレベルを維持でました。

 

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図をご覧下さい。Aグループでは16週の間まったく歯を磨けずに歯垢が100%くっついた状態を示しています。

 

いっぽうBグループでは2回の口腔衛生指導でほぼ磨けるようになりました。

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上の図をご覧下さい。歯磨き指導たった1回のAグループでは歯肉からの出血がおさまりません。

しかしグループBでは出血がおさまっています。

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上の図では歯周ポケット内にみられる細菌のうち、歯周病菌であるスピロヘータと運動性桿菌が占める割合を表しています。

この研究で解ったことは、歯肉縁上のプラークコントロール、つまり患者さんの協力がなければ歯科衛生士が歯肉縁下のプラークを除去しても歯周炎は再発してしまいます。歯磨き指導の時には歯肉縁上のプラークコントロールの重要性を患者さんに十分に理解してもらうことが欠かせません。

まだ続きがありますグ。ループAは16週目で歯周病が治っていなかったので、もう一度口腔衛生指導とスケーリングを行い、2週間ごとに1回Professional Tooth Cleaningを行い、その結果改善傾向にありました。

グループBは最初に8回、口腔衛生指導を受けていたので悪化することはありませんでした。

何故、歯周病治療の前に歯周病についての説明、口腔清掃指導をするのかご理解いただけたでしょうか?

歯周病の治療は患者さんの家庭での療法が出来ることが前提条件です。

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日本歯周病学会歯周病専門医 吉川 英樹 拝