昨日は、長年、校医を務めている小学校へ春の歯科検診のため、約170名の生徒さんのお口の中を審査するために参りました。

少し風邪をひいていて体調不十分でしたが約3時間で終わりホッとしています。

 

さて、先日、「歯肉が下がってきて歯周病かも知れない」と訴える患者さんがご来院くださいました。

前医に「歯肉が下がってきたので歯周病かも知れない」と言われたそうです。

早速、お口の中を拝見すると確かに歯肉が下がり根面が露出しています。

 

こんな時に歯周病かそうでないかの診断はどうするのかというと、私たち歯周病専門医はプローブという器具を歯周ポケットに挿入する時の出血で判定します。

 

こちらの患者さんはほとんど出血がありませんでしたので、歯周病ではないと診断しました。

もし出血があれば歯周病と診断したはずですが。

 

前の医院では歯肉が下がってきたので歯周病の疑いがあると言われたそうですが、私は歯周病ではないと思います。

 

こちらの患者さんからお話を聞いていると次のようなことが解りました。

① 歯ブラシをかなり硬めのものを使用している。

② 定期健診のたびに歯石除去・スケーリングが行われていた。

 

歯石除去・スケーリングをやりすぎると歯肉が退縮して根面が露出するという論文があります。

J Clin Periodontol. 1982 Jul;9(4):323-36.
“Critical probing depths” in periodontal therapy.
Lindhe J, Socransky SS, Nyman S, Haffajee A, Westfelt E.J Clin Periodontol. 1982 Jul;9(4):323-36.

 

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この論文では2.9mm以下をスケーリング・歯石除去すると歯肉が退縮してしまうことも書かれています。(上の図を参照)

この論文を読むとこのようなことを考えるのですが、車を頻繁に洗車すると綺麗にはなりますが塗装が剥げてしまいます。

どのように洗車するかが重要で、やりすぎは良くありません。

 

歯磨きをする時も患者さんが、何故歯磨きをするのか?どのように何処をいつ、どのくらいの頻度ですればよいのかを理解して戴いて行うことが重要です。

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝