今年は暖冬の傾向でしたが大寒波が訪れやっと冬らしくなりました。

 

私たちの日常的に行われている診療の流れをご紹介致します。

 

初めて来院された患者さんには先ず、問診表を書いて戴き主訴を確認してから診療室に入ってもらいます。

こちらの方は、隣接面に虫歯ができて応急処置は他院でしたのですが奥様のご紹介で来院されました。

 

レントゲンを撮影して虫歯の広がりを確認して、症状もないのでどうやら神経を除去しないで済みそうです。

さてここで、日本の一般的な医院では、いきなり歯科医師が歯を削り銀歯を入れるために型をとり診療を終えるのが常でしょうが、私たちはこのような診療の流れではなく、この虫歯はどうして出来て、どうしたら再発しないようにするのかを患者さんに理解してもらいたいと思っています。いきなり削って、銀歯を詰めてもまた数年で再発して今度は神経を除去しなければならないことは嫌というほど毎日経験しています。この違いに患者さんは戸惑っているようです。

 

「この虫歯を治療する前に原因除去療法をすることが大切です」と私はこちらの患者さんに伝えました。

 

すると患者さんは「今日はお話だけで良しとして何故すぐに治療に入らないのですか?何故すぐに削らないのですか?」と仰いました。なるほど、以前の歯科ではすぐに治療に入ったのに何故、私たちの医院ではこのようにしないのか?という質問です。良い質問をして下さいました。

 

患者さんにとって、私たち歯科医に求めているものは、そもそも何でしょうか。

 

虫歯を削り蓋をすることでしょうか。

 

入れ歯を入れることでしょうか。

 

インプラントで失われた歯を蘇らせることでしょうか。

 

歯周病の手術をすることでしょうか。

 

いいえそうではありません。患者さんは良く耳を傾けると必ずこのように仰います。自分の歯で一生噛みたいと。

 

そのためには、これらの対症療法ではなく、原因除去療法が必要です。日本の歯科医師はこのような話をしないので、この言葉を患者さんは余り聞いたことがないようです。

 

医者にかかり医師の言われたように薬を飲めば病気は治りますか?検査数値は正常になりますが病気の原因は改善しないでいずれ再発するでしょう。歯科の疾患、虫歯も歯周病も歯科医師に依存し治療を続けてもいずれ、再発し壊れてしまいます。

 

一番大切なことは患者さんの内にある気付きです。

 

健康になるためには、医師に依存するのではなくご自身で健康になる方法を理解してもらいたいと思っています。

 

次回の予約から3回〜4回位、原因除去療法を行い、その次に虫歯の治療を行うということになります。

 

1日目なので患者さんには私はこのように申しました。

 

「部屋の壁紙にペンキを塗る時に養生をしないでペンキを塗る職人さんはいません」

「歯石、歯垢がある状態で充填しても上手く詰められないので、すぐに脱落するでしょう。歯を綺麗にしてから治療すれば成功率が上がります」

「出来高払いの保険診療がこのようなことが出来ないような理由です」

 

患者さんが医師に依存せず自立することが口腔の健康、歯を美しく保つためには何より重要です。

 

皆さん、気付いて下さい。

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝