ここ数年はスマホの普及が著しく電車に乗っていると本や新聞を読んでいる人よりスマホを見ている人が目立ちます。
私もパソコンやスマホに依存することが多く、毎日必ず調べものをしているような状態です。
私たちの医院でもネットをご覧になり来院される患者さんが多く情報発信の重要性を感じています。
しかし、患者さんの中にはほんの1分くらいしか私たちのページをご覧にならずに来られる方もいらっしゃって説明をしていると1時間のアポイントでは足りずに治療内容について説明不足になることもあるので事前にホームページをご覧になって下さるようにお願い致します。
初診時のコンサルテーションで患者さんとのずれを感じることは治療費についてです。
「日本では欧米の治療費の1/10以下です」
「これでは歯は壊されてしまいます」
などとお話しすると「そんな話しは初めて聞きました」
「へー、ビックリしました」と驚きの感想をいただくことがほとんどです。
上の図をご覧下さい日本の歯科医療費は異常なこと解ります。
欧米の1/10以下の治療費です。
上の図は根管治療についての各国の比較ですがこれも異常です。
「日本の歯科医療費が安いことは良いことだ」というご意見も頂くこともあります。
あるいは「アメリカが異常に高いだけだ」おっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、これは異常事態なのです。
車の値段が日本車は外車の1/10以下だったら、私だったらそんな日本車は危険でとても乗ることはできません。
私は歯科医療も保険診療では危ないので自由診療を受けようと思います。
それでは何故、欧米の1/10の以下の費用で保険歯科医療が設定されているのか?
この国際化の時代に何故か、不思議な現象だと思いませんか。
これには歴史的背景がありますので説明します。
日本では1961年に国民皆保険制度が導入されました。
それ以前は健康保険がなく歯科医療は自費であったために多くの方は歯の治療は受けられずに放置していました。
国民健康保険が導入された1961年当時には、歯科の治療は非常に手間がかかり高額なので保険に導入の仕方が難しかったのだと思います。
差額徴収制度というものが国民皆保険制度と組みになって国から歯科医師会に提案されたそうです。
例えば、ゴールドのクラウンを8万円の自費診療として行う場合、国には保険で認めている銀歯の価格1万円を請求できる。そして患者には残りの7万円を徴収するというものだ。
これで国は診療報酬を低く設定して、保険の医療費抑制を果たせる。
一方の日本歯科医師会側は、自費診療に誘導できるので収益は確保できる。
両者の思惑が一致して奇妙なシステムが生まれた。
だが、これを悪用する歯科医師が続出した。
二重徴収が横行しました。国に保険分を請求しておきながら全額を患者から徴収したり、保険診療なのに倍の費用を患者から徴収する歯科医もいました。
これが新聞報道されて、国民の怒りを買いました。
そして差額徴収は1976年に廃止され、歯科の保険診療報酬は低いまま欧米の1/10に据え置かれて40年以上の年月が経過致しました。
歯科医は低い保険診療の中で利益を得なければならず、到底不可能の患者数を診療しなければならず、欧米に比較して治療の質がかなり劣ってしまうのは当然のことと思います。
私たちのホームページには詳細に保険診療と自由診療について書いておりますのでご参考にして下さい。
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日本歯周病学会歯周病専門医 吉川 英樹 拝