秋らしい気候になってきて、朝晩は寒く感じるようになりました。さて、根管治療の予約時間は1時間30分をいただいて治療しています。長時間の予約時間なので患者さんも大変なので、その場合は途中で休憩する場合もあります。
1時間30分必要な理由はこのようなことからです。
1.ラバーダムを装着して完全に唾液が術野に入らないようにすることから根の治療は始まります。ラバーダムのゴムに穴を開けてクランプというゴムを固定するものを歯の歯頚部に装着するのですが、それが歯に引っかからないで外れてしまう場合や、歯の高さが短く残根状態の場合などラバーダムを掛けるのは難しい。また、歯が隣の歯に接している部分(隣接面)に虫歯が進行してそこが欠損している場合は、そこから唾液が侵入して来るので、コンポジットレジンでそこを塞ぎ壁(隔壁)を作らなければなりません。歯の表面を清掃して消毒する時間も数分必要です。ラバーダムを装着して無菌的な環境を整える時間は10分以上かかるでしょう。
2.虫歯の部分を完全に取り除く時間がかかります。マイクロスコープ・実態顕微鏡を見ながら治療すると意外なところに虫歯が広がっている場合があります。そこを残して根管治療を続けるとそこが感染源になり根管に細菌が及んでしまいます。感染源を見落とさないためにも多くの時間が必要です。
3.歯冠部の歯髄(神経、血管)を取り除いた後は、根管の入り口(根管口という)を見つけなけらなりませんが非常に時間がかかる場合が多い。根管の入り口が数ミクロンなんてこともありますからマイクロスコープ・顕微鏡を見ながら細心の注意を払って見つけます。
4.根管内を洗浄・消毒するために次亜塩素酸ナトリウムを使用するのですが、これを根管内に還流させ洗浄、消毒するために時間がかかります。根管を洗浄・消毒するためには根管を拡大する必要があります。根管が余りにも細いと薬剤が浸透して行かないからです。根管の長さをレントゲン、電気を使って計測するのにも多くの時間がかかります。
5.根管治療が終わって次の根管治療までの間に、唾液が入るとすべてが水の泡に終わります。その理由は細菌も根管内に侵入してしまうからです。仮の蓋をするのでか仮封と呼んでいるのですが仮封をきっちりする時間と、仮封を除去するのにも多くの時間がかかります。よく見かけるのですが、ストッピングという材料でこれをしていることがありますが、この材料はいけません。唾液が入って行くからです。
治療時間については皆さまによくご理解下さるようお願い致します。
遅れたり、キャンセルのないようお願い致します。
日本歯周病学会専門医 吉川英樹 記
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