先日、初診でご来院された患者さまは他院で4ヶ月前に神経を除去する処置(抜髄処置)をされたのですがその後痛みが治まらず当医院にご来院下さいました。

 

「何となくジーンと痛い」という訴えでした。早速レントゲンを撮って観察致しました。

 

 

根の先まで歯髄(神経・血管)は除去されているようだし悪いところは無さそうですが歯髄(神経・血管)の取り残しがあると想像しました。

 

肉眼では細かいところまで見えないし顕微鏡なしの一般的な治療では歯髄を取り残していることが多いからです。

 

 

次にCTを撮影し立体的に3次元的に観察致しました。

 

 

上のレントゲンは歯列に対して床と平行な水平断の像ですが上顎第1小臼歯の舌側根管が取り残していることが確認できました。

それから歯髄の取り残しはそこだけではなく根の中を走行している2つの根管の間を網目状に歯髄が走行しています。

 

根管の間の0.1mm以下の網目状の部分をイスムス Isthmusと言います。

 

上の図はイスムスの分類です。

 

次にCoronal Viewをご覧になるとイスムスの取り残しが明らかに解ります。

 

 

Sagital Viewです。

 

 

治療としては超音波チップを使いイスムスを除去して次亜塩素酸ナトリウム溶液にて歯髄を溶解・洗浄致しました。

 

患者さまに確認したところかなり痛みは治まったそうです。

 

やはり肉眼の治療には限界があり、且つCTを使用して根の解剖学的形態を観察することが重要になります。

 

 

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝