日も長くなり春めいて参りました。
こんな良い質問を患者様から受けましたのでご紹介いたします。
Q.「神経を取る場合と取らない場合の判断基準とはどのようにしているのですか?」
A.歯の中には神経と血管にみたされた部屋があります。これにより歯は生活し生きているのです。生きている歯を削れば痛いので麻酔をして歯を削ることを考えて下さい。また、虫歯が大きくなると歯が痛く感じます。これは歯の中の歯髄(神経・血管)が炎症を起こしているから痛みとして感じるのです。歯は単純に無機的な物ではありません。
歯髄(神経・血管)を残せる場合とは、炎症がなくなる可能性がある場合、例えば虫歯により歯髄が充血し水、お湯にしみる場合、虫歯の部分を除去して緊密に歯を封鎖、充填すれば元の健康な状態に歯髄(神経・血管)が回復します。
しかしながら、元の健康な状態に回復出来ない場合があります。これを放置すると細菌感染が根の先に起こり、根の先に病気を作る場合です。このようにならない為に歯髄(神経・血管)を除去する治療方を選択します。これを専門的には抜髄といいます。
この歯髄(神経・血管)の状態を知ることはかなり難しく病理切片をとり炎症細胞を顕微鏡下で見れば確定診断することは出来ますが、こんなことをすれば歯髄(神経・血管)を破壊することになり臨床的には無理なことです。
そのため、私たちはこの歯髄の状況を診断するのに問診(患者様に質問する)します。そして色々な診査もします。熱いもの、冷たいものを歯につけたり、電気診をします。
そして、診査の結果、可逆的な歯髄炎か不可逆的な歯髄炎かを診断して、神経ととるか、とらないかを判断いたします。
日本歯周病学会歯周病専門医 ICOI国際インプラント学会専門医
吉川英樹 拝