今年の夏は殺人的な暑さが続きましたがやっと秋風が感じられる季節になりました。
さて、お掃除をするとその後に清々しい気持ちになります。部屋の中はいつも綺麗に掃除をすると運気まで上昇すると風水で言われています。掃除をする時には丸く掃く拭くのではなく家具を退かして隅々までやるべきです。
水周りもいつも綺麗にしていないとバイオフィルムがこびりつきの悪臭がしてきます。
歯の中を綺麗に無菌的にする根管治療でもこれらの清掃・掃除するということはとても重要なのです。
根管治療時にファイルという針のようなヤスリで根管を拡大して行く時の削りカスのようなものが根管の壁にこびりつきます。歯の中の神経、血管を除去する時にもこれらを洗浄することも重要です。
そして歯を構成している象牙質は象牙細管という細いストローのように中が中空構造になっている組織が重なって出来ています。下の写真のようになっています。
この象牙細管の穴の中に治療中に色々な汚染物質が詰まります。木材をサンダーで削ると削りカスが木材の繊維の中に入り込み何回も拭いてもなかなかきれいにならない経験をしたことがあり、これと同様です。
この象牙細管の詰まりをスメア層と言います。そのスメア層は土台(コア)を根管の象牙質にダイレクトボンディング(接着)させる時に接着を阻害して、最悪の場合、土台が脱落して抜け落ちてしまう可能性があり常にこのスメア層を除去し清掃・洗浄することが非常に重要です。
しかしながら、このスメア層は通常の方法では中々綺麗になりません。
通常、根管治療で使用する次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターと同じ成分)をシリンジで注入する方法では難しく、超音波の振動を使用して一般的にはスメア層を除去しています。
さらに、最近ではEr:Yag Laser エルビウムヤグレーザーという機器も販売されており私はこの器械を使用してスメア層(象牙質の汚物の詰まり)を除去しています。
上の写真はエルビウムヤグレーザーで洗浄してスメア層を除去した電子顕微鏡画像です。
エルビウムヤグレーザーはレーザー光により水の爆発が起こり20ナノメーターという微細な水が細かい部分まで行き渡りスメア層を除去して象牙細管まで届きこのように綺麗にお掃除します。(ナノメーターとは1/1000ミクロンの単位)
吉川英樹 拝