昨日、来院された患者さんは数年、私たちの診療室にメインテナンスに通って下さっている女性の方で、その方が紹介して下さった若い男の患者さんが

このように言っておられたというお話を聞きました。

 

その男の方は過去に歯医者に行って治療をされた時に、ものすごく痛い思いをして麻酔も効かなく、その時の経験がトラウマになり

歯科医院に行けずに治療をしたくても出来なかったということでした。お気の毒です。

 

私も過去に、高校生のころ虫歯治療で神経を除去しなくてはならず、恐ろしい経験をしたことがあります。

 

私が子供の頃は歯科医院はものすごく混んでいる所でまるで野戦病院のようでした。

歯科医師は50人以上の患者さんを治療する時代で、麻酔などしないで神経を殺す薬、アルゼンと言いますが、これは砒素という毒です。

この毒を使って神経を殺し、クレゾールの薬剤で固定し神経をミイラ化させて除去するという野蛮な時代でした。

 

私は夏休みを利用して歯医者に通い虫歯治療をすることにしました。歯の中にアルゼンという毒を入れる場合に効果が一定ではなく、

私のケースでは十分に神経が殺されていなかったのでしょう。

 

神経を取る時に私は、治療椅子から飛び上がるほどの痛みを感じましたが「痛いからやめてくれ」とは言いだせませんでした。

ビクンと体が動いたのを今でも忘れません。それでも歯科医師は治療をやめませんでした。

 

ファイルが根の先の神経に触れる時の痛みは今でも忘れることは出来ません。

 

その歯科医は私の叔父ですが、その時代は今とは違い歯医者が忙しすぎる時代で患者さんの痛みなど感じていたら

仕事にならなかった時代だったのでしょう。

 

そのような経験から私は患者さんに絶対に痛くしないように心がけています。

 

その男の患者さんも「まったく痛くなかった」とおっしゃっていました。

 

患者さんに痛みというトラウマを与えることは、その後の受診に大きく影響を与え脳に記憶されるので絶対にしてはいけません。

 

ご安心ください。当医院では1時間〜1時間30分の時間を取り、十分に麻酔を効かせてゆったりと痛みがなく治療しています。

 

 

日本歯周病学会歯周病専門医 吉川英樹 拝